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エネルギー
2026/02/19
日本のエネルギー貯蔵政策の動向 (InfoLink Consulting)
本コラムでは、再生可能エネルギーとテクノロジーを専門とする台湾の調査・コンサルティング会社、 InfoLink Consultingが2026年1月23日に発表した記事「日本のエネルギー貯蔵政策の動向:簡潔な分析」を通じて、海外の専門家がみた日本のエネルギー政策を紹介します。
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日本のエネルギー貯蔵政策の動向:簡潔な分析
高市早苗首相はまだエネルギー関連の政策を発表していないため、本稿では、既存の政党の政治的方向性、エネルギー計画、および関連政策措置に基づいて、日本のエネルギー貯蔵政策の動向を簡潔に分析します。
主要政党のエネルギー政策の立場
日本のエネルギー政策は、主に与党連合によって決定され、野党の監視を受けています。高市首相の下、政府は供給安定性とエネルギー安全保障を中核政策目標として、日本のエネルギー政策の方向性を決定しています。このアプローチの中核を成すのは、不可欠なベースロード電源と位置付けられる原子力の「最大限活用」という原則です。この目的のため、政府は既存の原子炉の再稼働を積極的に推進するとともに、再生可能エネルギーの計画的な開発を進めています。
一方、野党は、代替政策を提案しながらも、監視的な役割を担っています。最大野党である立憲民主党は、原子力発電の段階的廃止を主張し、絶対的な安全性が確保され、核廃棄物問題が完全に解決されるまで、原子力発電の利用は厳しく制限されるべきだと強調しています。また、同党は太陽光発電と風力発電の急速な拡大も求めています。日本共産党のようなより急進的な立場をとる政党は、すべての原子力発電所の即時廃炉と、再生可能エネルギーのみで動く社会の実現を求めています。
つまり、現在の日本のエネルギー政策は、大きく二つの対照的なアプローチによって特徴づけられます。一つは、再生可能エネルギーを排除することなく原子力発電を強化するという与党の姿勢、もう一つは、再生可能エネルギー開発を優先するために原子力発電を段階的に廃止すべきだという野党の主張です。最終的には、政策の方向性は与党連合によって大きく左右されます。
日本のエネルギー戦略計画の変遷
日本のエネルギー基本計画は、2002年のエネルギー政策基本法に基づいて策定された国家レベルの政策枠組みであり、3~5年ごとに改訂されています。最新の計画である2025年2月に発表された「第7次エネルギー基本計画」では、高いレジリエンス(回復力)と自立性、そして調整可能なクリーンエネルギーシステムの構築が謳われています。この計画では、再生可能エネルギーと並んで原子力の「最大限の利用」を軸とした発展の道筋が示され、2040年までに再生可能エネルギーが電源構成の45%を占めるという目標が設定されています。
この戦略的方向性は、その歴史的変遷の文脈の中で理解されなければなりません。第二次世界大戦後、日本は石油輸入に大きく依存していました。石油危機後、エネルギー供給の多様化を目指し、政策は原子力と液化天然ガス(LNG)へと転換しました。2011年の福島原発事故後、日本は原子力発電の停滞と再生可能エネルギー導入の加速という局面を迎えました。今日、エネルギー安全保障への懸念と脱炭素化目標からの圧力が高まる中、政策は再び原子力発電の再稼働と再生可能エネルギーの計画的な開発の推進へと軸足を移しています。
エネルギー貯蔵の観点から見ると、日本が再生可能エネルギーの長期目標を引き上げるにつれて、電力システムの柔軟な調整力電源への構造的な依存がますます顕著になると予想されます。したがって、エネルギー貯蔵の需要は拡大し、再生可能エネルギーの間欠性と変動性に対処する上で重要な役割を果たすことが期待されます。
図1. 日本のエネルギー基本計画目標 (単位: %)

エネルギー貯蔵市場を形成する中核政策:
GX推進戦略とGX2040ビジョン
日本政府は2025年2月、2050年までにカーボンニュートラルを実現するための国家戦略として、「グリーン・トランスフォーメーション(GX)推進戦略」と「GX2040ビジョン」を発表しました。両文書は、エネルギー貯蔵を優先的な新興産業として明確に位置付けています。これらの枠組みの下、政府は今後10年間で債券発行を通じて20兆円(約8,818億人民元)を、エネルギー貯蔵を含むグリーントランジションプロジェクトを支援するために提供する計画です。2024年度だけでも、政府はエネルギー貯蔵システムの設置支援に85億円(約3億7,500万人民元)を計上しました。これらの措置は、日本がエネルギー貯蔵を戦略レベルに位置付けるだけでなく、具体的な財政支援を通じて政策支援を強化していることを示しています。
出典:日本政府公式ウェブサイト
長期脱炭素電源オークション(LTDA)
高市氏が政権に就任する以前から、日本政府は電力システムのレジリエンス強化を目指し、系統側エネルギー貯蔵への資源配分と開発の優先順位の転換に既に着手していました。2025年6月、日本は長期脱炭素電源入札(LTDA)の仕組みを見直しました。これは、対象となる発電プロジェクトに対し、20年間の固定容量収益保証を提供する政府主導の入札制度です。高市氏が2025年10月に政権に就任するまでに、日本は既に第3回入札を開始していました。
改正規則では、長時間エネルギー貯蔵が初めて入札対象カテゴリーに追加されました。さらに、エネルギー貯蔵に割り当てられる割当量が削減され、最小放電持続時間要件が6時間に引き上げられました。これらの変更は、系統レベルの柔軟性と信頼性のニーズにより合致するよう、長時間エネルギー貯蔵を優先する政策転換を示しています。
図2. 長期脱炭素電源入札

結論
現在、エネルギー安全保障は日本のエネルギー政策の中核的な指針であり続けています。再生可能エネルギーのシェアが中長期的に増加すると、エネルギー貯蔵業界に大きなビジネスチャンスが生まれます。今後、日本のエネルギー貯蔵市場は、以下のような特徴を示すと考えられます。
- 技術の方向性: 市場の重点は長期エネルギー貯蔵へと移行する可能性があります。
- 機能的位置付け: エネルギー貯蔵は、グリッドの安定性と信頼性の確保に重要な役割を果たすことが期待されています。
- 市場構造: より厳格な技術的基準と制限された容量割り当てにより、業界全体の競争が激化する可能性があります。
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一般の方にとって、再生可能エネルギーや蓄電システム(エネルギー貯蔵政策)について、日本では目にする機会は少ないかと感じております。更に目にするニュースはSNS向けのインパクト・イメージ・簡素さ重視のものが多く、元々の発表されている内容や実際の統計データから逸脱したものも頻繁に見られます。
日本のエネルギー政策について海外の専門企業が紹介しているこの記事は、情報に対する理解の深さや、海外専門家からみた日本の政策の捉え方、について日本の皆さまの参考になるのではないか、と推察しております。
この有益な記事を紹介していただいた台湾のInfoLink Consultingに感謝いたします。
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