太陽光発電コラムPV column

ソーラー

2026/09/11

「日本の太陽光発電市場の回復」SolarPower Europe (JPEA寄稿)

SolarPower Europeが発表した今年度版「太陽光発電の世界市場の展望 2026-2030年」のレポートに、一般社団法人 太陽光発電協会 (JPEA) が寄稿した日本市場の紹介(本レポート132-135ページ)があり、日本の太陽光発電市場の現状について大変分かりやすく、まとまっております。

2024年にJPEAが発表した『PV OUTLOOK 2050』をベースに日本市場の直近の動向について説明しております。2023年からやや低調な市況の日本太陽光発電市場が2027年以降は様々な課題を抱えつつも、拡大していく予測となっております。

本コラムでは、このレポートの日本市場に関するレポートをご紹介いたします。

本レポートの全文(英語)は下記リンクよりダウンロードできます。
出典元: https://www.solarpowereurope.org/insights/outlooks/global-solar-market-outlook-2026-2030

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4.7 日本: 屋根置き型太陽光発電、PPA、自家消費が牽引する回復

著者: 増川 武昭(一般社団法人 太陽光発電協会 (JPEA) 事務局長)

太陽光発電市場の動向

日本の太陽光発電市場は、太陽光発電に対する固定価格買取制度(FIT)の支援縮小に伴い、近年は減少傾向にありました。2025年には約5.7GWの太陽光発電設備が新たに導入され(2024年比で約0.5GW増)、累積導入量は102GWに達しました。FITやフィードイン・プレミアム(FIP)による支援が縮小しているものの、太陽光発電協会(JPEA)の業界レポート『PV Outlook 2050』に示されている通り、日本の太陽光発電市場は2027年から再び成長に転じると予測されています。

図7.1 (GW)
日本: 2015~2025年の太陽光発電導入量(年次)および2026~2030年の市場見通し

注: 太陽光発電市場の展望、JPEA「PV OUTLOOK 2050」より。
著作権: SolarPower Europe. 出典:JPEA(太陽光発電協会)

これは、住宅用および商業・産業用(C&I)の屋上設置型市場の拡大に加え、新たなコーポレートPPA(電力販売契約)モデルの急速な普及によって実現すると見込まれています。こうしたPPAモデルの普及は、主に化石燃料価格の高騰による大きな影響を受けているエネルギー消費者のニーズに牽引されています。さらに、エネルギー自給率の向上やエネルギー安全保障の強化を目的とした政府支援の拡充も、太陽光発電市場の成長に寄与するでしょう。

太陽光発電および再生可能エネルギーに関する国の目標

経済産業省が公表した「長期エネルギー需給見通し」によると、2030年時点における太陽光発電の累積導入量の目標は、129~146GW(交流出力ベースで103.5~117.6GWAC)の範囲とされています。この目標は、2030年までに温室効果ガス排出量を2013年度比で46~50%削減するという目標の達成に寄与するものです。さらに、2025年に閣議決定された「第7次エネルギー基本計画」によれば、2040年時点の電源構成における太陽光発電の比率目標は23~29%とされています。

JPEA(太陽光発電協会)の「PV Outlook 2050」によると、太陽光発電の累積導入量は2030年までに150GW(125GWAC)に達すると予測されています。この野心的な見通しは政府目標を7GW上回るものであり、2026年から2030年にかけては、毎年平均9~10GWの太陽光発電設備が導入されると試算されています。

太陽光発電の成長を牽引する要因

2012年7月の導入以来、FIT(固定価格買取)制度は日本における太陽光発電市場の成長を最も強力に牽引してきました。しかし、その後FIT制度の重要性は低下し、2022年4月には、より市場原理を重視したFIP(フィード・イン・プレミアム)制度が導入されました。FIP制度では、固定の買取価格を設定するのではなく、卸電力市場価格に一定のプレミアム(上乗せ額)を付加する仕組みが採用されています。

一方、日本国内では、災害リスクや環境破壊への懸念から、太陽光発電に対する反対の動きが広がっています。2025年、政府はFIT(固定価格買取制度)およびFIP(フィードイン・プレミアム制度)の見直しを指示しました。これには、地上設置型太陽光発電に対する政府の支援を終了するかどうかの検討も含まれています。

日本において、産業・業務用ユーザーを対象とした「自家消費型ビジネスモデル」が急速に拡大しています。太陽光発電の均等化発電原価(LCOE)は、産業・業務用ユーザー向けの小売電力価格の上昇と比較してもすでに競争力のある水準にあり、敷地内での自家消費型太陽光発電システムは企業にとってますます魅力的な選択肢となっています。昨今の世界的なエネルギー価格の高騰はすでに日本の消費者に影響を及ぼしており、このビジネスモデルの拡大を加速させると見込まれています。

太陽光発電の普及をさらに後押ししている要因の一つに、新築建物への太陽光発電設備の設置を義務付ける政策が挙げられます。東京都や川崎市では、2025年4月より、戸建て住宅を含む新築建物への太陽光発電システムの設置が義務化されます。こうした設置義務化の動きは、仙台市をはじめとする全国の自治体へと広がっています。その結果、太陽光発電市場、とりわけ住宅の屋根への設置については、今後大幅な拡大が見込まれています。

再生可能エネルギー利用者のニーズに加え、電気料金の高騰を背景に、日本国内の太陽光発電市場ではPPA(電力販売契約)ビジネスモデルが普及し始めています。

大規模(ユーティリティ・スケール)太陽光発電と、分散型・屋根置き型太陽光発電の展開

2025年の住宅用太陽光発電(10kW未満)の導入容量は、2024年と同様に1GWACを超えたと推定されます。JPEAは、FIT(固定価格買取制度)や、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)および蓄電池システムに対する各種補助金に支えられ、同セグメントが今後さらに拡大すると見込んでいます。2026年以降は、新築住宅への太陽光発電設置を義務付ける自治体の動きが、住宅用屋根上市場の成長を強力に後押しする可能性があります。

一方、主に地上設置型である出力1MW未満の分散型太陽光発電は、FIT(固定価格買取制度)による支援の縮小を主因として、2016年以降、減少傾向にあります。このセグメントには、単純な地上設置型太陽光発電のビジネスモデルから、再生可能エネルギーの利用者や地域社会のエネルギー需要に即した「自家消費モデル」へと転換することが求められています。また、コーポレートPPA(電力販売契約)の拡大や、初期5年間に高い買取価格を設定して早期の資金回収を支援する屋根置き型太陽光発電向けの新たなFIT制度の導入に伴い、同セグメントは今後さらに拡大することが見込まれています。

ユーティリティ・スケール(大規模発電所)を含む1MW以上の大型太陽光発電システムもまた、減少傾向にあります。FIT(固定価格買取制度)の終了に加え、送電網の制約や用地確保の難しさ、さらには地域住民からの反対といった要因も、市場縮小の一因となっています。この分野を中長期的に再び成長軌道に乗せるためには、アグリソーラー(営農型太陽光発電)のような土地利用のあり方に関する改革が不可欠です。

課題

業界が直面する最大の課題の一つは、地域社会や一般市民による太陽光発電への反対です。こうした反対​​の背景には、太陽光発電に関する誤った情報や、一部の大規模発電所が住民との間で引き起こしたトラブルへの懸念があります。業界としてはまず、誤った情報や否定的な認識によって大きく損なわれてしまった太陽光発電への社会の信頼を回復しなければなりません。この信頼回復に向けた取り組みこそが、今年度のJPEA(太陽光発電協会)の最優先課題です。

もう一つの重要な課題は、FIT(固定価格買取制度)から、より市場志向のFIP(フィードイン・プレミアム)やPPA(電力販売契約)型のビジネスモデルへと円滑に移行することです。今後10年間で、FITやFIPの制度に大きく依存することなく市場が成長する体制へと移行していくことになるでしょう。

日本における市場の低迷傾向は、主に送電網の容量制約と出力抑制(カテールメント)のリスクに起因しています。九州地域では2025年に太陽光発電の出力抑制率が約9%に達し、関連するリスクが顕在化しています。経済産業省は、需要側管理(デマンドサイド・マネジメント)や供給側の柔軟な運用など、出力抑制リスクを最小限に抑えるための追加的な対策に取り組んでいます。さらに同省は、大量の再生可能エネルギーの導入に対応するため、長期的な送電網拡張計画の策定を進めています。

日本における太陽光発電のもう一つの大きな課題は、用地の確保です。敷地内での自家消費モデルのように専用の用地を必要としない新たなビジネスモデルや、未利用地・耕作放棄地の活用は、こうした制約への対処に役立ちます。これまで、未利用地や耕作放棄地を太陽光発電所へ転用する動きは限定的でした。これは、厳格な法的手続きや地方自治体からの許可が必要とされるためです。JPEA(太陽光発電協会)は、既存の法規制の改正を通じてこれらの制約を解消すべく、他の業界団体や非営利団体と連携して取り組んでいます。

日本において、太陽光発電が従来のガス火力や石炭火力発電所と競争していくためには、太陽光発電のコストをさらに低減、あるいは維持していく必要があります。地上設置型太陽光発電の平均コストは約12.0円/kWh(0.065ユーロ/kWh)と推定されていますが、2026年における50kW以上の地上設置型システム向けのFIT(固定価格買取制度)価格は8.6円/kWh(0.047ユーロ/kWh)に設定されています。

最後に、日本が2022年の世界的なエネルギー危機で特に大きな打撃を受けたことを踏まえ、JPEAの重要な課題の一つは、エネルギー価格の高騰への対応やエネルギー輸入への依存低減において太陽光発電が果たす重要な役割と、その利点を、広く一般の人々や政策立案者に伝えていくことです。

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JPEAが2024年7月に発表した資料「PV OUTLOOK 2050」は、日本の太陽光発電市場について大変詳しく記載されております。(全118ページ、約13MB)日本の太陽光発電市場について、こちらも是非御参照下さい。
リンク先: https://www.jpea.gr.jp/news/16564/

謝辞: 太陽光発電市場の動向について、毎年充実したレポートを発行するSolarPower Europe、そして一般社団法人太陽光発電協会 (JPEA) の関係者の皆さまに感謝の意を表します。

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